「ポケットモンスター ブラック ホワイト」は、ニューヨーカーの反戦思想を描いた作品

　ゲームフリークの増田順一氏が、雑誌「ダ・ヴィンチ」２０１１年１月号で、「ポケットモンスター ブラック ホワイト」のテーマなどについてコメントしています。

　これによると、「ポケットモンスター ブラック ホワイト」は、イッシュ地方のモデルになったニューヨークに暮らす、ニューヨーカーの反戦思想を描いた作品になっているそうです。

　増田順一氏は、「ポケットモンスター ブラック ホワイト」は、今より優しい世界、簡単に言えば、ラブアンドピースの世界観で、ニューヨーカーの反戦思想、互いに忍従しあう姿勢を取り入れ、理想の世界を描く作品にしたとコメントしています。

　増田順一氏がコメントしている「反戦思想」というものが、どこまでの「反戦」なのか、つまり一般的な戦争反対の意味での反戦なのか、それとも、もっと軽い、争いを避けるという意味ぐらいの反戦なのかは、解釈が分かれるかもしれませんが、増田順一氏は、ブログで、

　広島には核兵器根絶までずっと発信していってほしいと思います。
　私たち日本人は、戦争や核について考えられる機会とチカラを持っています。
　世界唯一の被爆国として、しっかりと考え伝えなければならないのです。
　平和。それをじっくり考えることができる日本。
　この国の素晴らしさを世界に訴えていきたいですね。

とコメントし、核廃止に関連するコメントを出していることもあって、おそらく「ポケットモンスター ブラック ホワイト」には、一般的な意味での「反戦」のメッセージが込められたものになっていると思われます。

　「ポケットモンスター ブラック ホワイト」では、例えば、「ヒウンシティ」（公式的な元ネタはおそらく「飛雲文」）は、大都会ニューヨークがモデルのはずなのに、街の後ろが「砂地」（砂漠）になっているのは、ワールドトレードセンターの跡地（グラウンド・ゼロ）を表しているのではないかと言われていたりもしますが、元々の意味としての「グラウンド・ゼロ」、つまり日本のヒウン（悲運）な「爆心地」も表しているのではないかという推測もあります。

　また、他にも、「ビクティニは、原子力爆弾、核兵器の象徴」ではないかという推測も可能なように、「ポケットモンスター ブラック ホワイト」には、核や戦争に関連するのではないかと思わせるものがいくつも登場します。

　ポケットモンスターシリーズは、以前からハッキリとこれが唯一のテーマというようなものはなく、色々な隠しネタやテーマがあり、様々に解釈出来るように作られているので、「ポケットモンスター ブラック ホワイト」が単純な反戦作品というわけではないと思われますが、反戦の主張も強く持つディレクターの増田順一氏が「ニューヨーカーの反戦思想」も取り入れたということを明らかにしたことにより、「ポケットモンスター ブラック ホワイト」に含まれる、戦争や核に繋がるような事柄は、日本人視点の反戦の想いが込められていると解釈してもいいと思われます。

　なお、過去のポケットモンスターシリーズにおいて、反戦のメッセージが関連しているのではないかと言われている大きなものとしては、「レジスチル」が宮崎に相当する場所、「レジロック」が大分に相当する場所、「レジアイス」が長崎に相当する場所、というように、戦争で大きな被害の出た場所に存在し、さらにその人型っぽい３匹のポケモンを連れて行かないと出会えない「レジギガス」が、北海道の｢宗谷海域海軍戦没者慰霊碑｣に相当する場所に存在することや、それらに関連する「点字」や、点字の「わたしたちわ このあなでくらし せいかつし そして いきてきた」などの「防空壕」を連想させる謎、「だいばくはつ」や「げんしのちから」や「はかいこうせん」というそれらが覚えるわざの種類など、「レジ」系のポケモンに関するものがあり、これらは、かつては偶然ではないかとも言われていましたが、ポケモンに「反戦思想」を取り入れることもあると明らかにされた以上は、これらも意図的に反戦のメッセージとして入れられたものであると解釈してもいいのかもしれません。

　情報元：　ダ・ヴィンチ　イッシュ地方　レジギガス